
伊藤彩香 Ayaka Ito
アーティスト / 絵描き / 舞台芸術家
1990年、東京都生まれ。
アクリル絵の具による絵画作品と、トータルプロデュースを手掛ける舞台作品とを制作。
日々の感情を題材にした心象風景を描く。目にした美しい光と、想像を掻き立てる言葉を用いて、時間と空間を意識した作風は、「舞台的な絵画」「絵画的な舞台」と評価される。
創作プロジェクト「口笛洋燈(くちぶえらんぷ)」主宰。代表作は『詩集』。
その他の活動に、グラフィックデザイン、小道具造形、舞台出演、フォトセッション。
武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科卒業
現代アーティスト神田さおり氏に師事
アングラ劇団、演劇実験室◉万有引力の『身毒丸』『狂人教育』『奴婢訓』にて出演・小道具制作
言葉 と 光 に 敬い を
音 と 踊り に 憧れ を
それは まるで
記憶
の
断 片
見るような
表現とは、想像力。
想像力は心の豊かさでもあり、優しさと生きる力を生むと信じています。
絵画と舞台は異なる分野ですが、私にとっては、心象風景を描く動機や創作過程が大変似通っています。想像力をはたらかせる要素が詰まっているからです。作品には、時間と空間が存在し、身を浸した人間にしか得られない体感があります。作り手と受け取り手の想像力によって、世界はどこまでも深く、遠くあるいは近くへと広がっていくことができます。
“今を生きる自分”という地点から、静かで熱く穏やかな刻へ。
心に触れあい、幸せを分かち合う、そんなきっかけでありたいのです。
伊藤彩香
活動略歴
絵画
グループ展
2020 伊藤彩香×松川栞 Hi(mahika mano/吉祥寺)
2019 SICF20(青山スパイラルホール/東京)
2019 いい芽ふくら芽2019(松坂屋名古屋店/愛知)
舞台
主宰
2019 「Light」(絵空箱/東京)企画,脚本,演出,美術,振付,出演
2019 「青のない絵本」(阿佐ヶ谷プロット/東京)企画,脚本,演出,美術,振付,出演
2016 「蒸気蒐集」(サブテレニアン/東京)企画,脚本,演出,美術,衣装,振付,出演
2015 「窓」(絵空箱/東京)企画,脚本,演出,美術,衣装,振付,出演
2014 「雨脚取り」(シードシップ/東京)企画,脚本,演出,美術,衣装,振付,出演
参加
2020 米澤一平企画「In The Zone」(喫茶茶会記/東京)出演,共同制作,美術
2020 砂と水玉「blue bird, black hole」(BUoY/埼玉)舞台監督
2019 小竹信節 退任記念公演「奴婢訓」(武蔵野美術大学 美術館/東京)出演,小道具制作
2018 演劇実験室◉万有引力「狂人教育」(下北沢ザ・スズナリ/東京)出演,小道具制作
2018 砂と水玉 vol.1「透明な森」(綜合藝術茶房喫茶茶会記/東京)出演,共同振付
2017 演劇実験室◉万有引力「身毒丸」(世田谷パブリックシアター/東京)出演,小道具制作
2017 演劇実験室◉万有引力「レミング」(座・高円寺/東京)出演,小道具制作
2017 演劇実験室◉万有引力「田園に死す」(三沢市内/青森)出演,小道具制作
2017 パフォーマンス Holiday Theatre「Christmas Party」(東京)共同企画,出演
2016 演劇実験室◉万有引力「小蕈奇譚」(絵空箱/東京)出演,美術
2016 演劇実験室◉万有引力「犬神」(座・高円寺/東京)出演,小道具制作
2015 演劇実験室◉万有引力「身毒丸」(世田谷パブリックシアター/東京)出演,小道具制作
2014 武蔵野美術大学卒業制作展示 舞台公演「詩集」(東京)脚本,演出,美術,衣装,振付,出演
2014 ライブ「雨脚取り」(シードシップ/東京)企画,脚本,演出,美術,衣装,振付,出演
2013 展示パフォーマンス「まいにち」(東京)共同企画,出演
デザイン等
2020 mahika mano 地図制作
2016 KERA「フォレスト・グリーン(或いは、あの歌をいつか歌えるか)」 MV出演
2015 小西遼ラージアンサンブル 「トウゲ」 パンフレットデザイン
2015 小西遼ラージアンサンブル 「風の街、ロープウェイのうた」チケットデザイン
2015 Motion Blue Yokohama ハロウィンイベント フェイスペイント,空間デザイン
2014 Motion Blue Yokohama ハロウィンイベント フェイスペイント,空間デザイン
2013 ものんくるライブ 歌詞冊子デザイン
Biography
東京都出身。
幼少期から絵を描き始める。母の読み聞かせにより、言葉を耳で楽しみ、想像力を育む。絵本や、J.K.ローリング氏・宮沢賢治氏の児童文学など、空想的で音韻が良く物語性の強いものを好んだ。
次第に、絵と言葉の併用によって自身の感情を表すようになり、 絵は自己の内面と現実世界と向き合う手段の一つとなっていった。
楽器演奏を始め、音による身体の衝動と、歌詞としての言葉の力を知る。
2008年、アーティストの神田さおり氏に出逢う。音楽と身体と絵画が混じり合うアートパフォーマンスに衝撃を受け、以後、様々な現場をアシスタントとして同行。氏との出逢いによって、表現に対しての姿勢、人間関係の多くを学ぶ。アクリル絵具との出逢いでもあり、この頃からアクリル画を独学し、生演奏とペイントとのライブセッションを始める。
2010年、武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 舞台芸術コースに進学。
アングラ演劇を代表する演劇実験室◎万有引力で小道具製作として携わり、2018年の「狂人教育」では主演の蘭役を担う。この劇団との関わりにより、空間全体を一枚の絵として捉える感覚を磨き、観客の想像力を刺激することで異世界へと誘なう、様々な手法を学ぶ。
また、パリのオランジュリー美術館で、クロード・モネ氏の巨大な絵の前に立ち、絵に対して“気持ち良い”というという感覚を初めて感じる。ある環境下で観る絵が、身体性に繋がる可能性を見出し、展示空間の演出にも視野が広がる。
2012年から2014年にかけて、企画・演出・舞台美術・出演をしたライブペイントのパフォーマンスを主催。
同時期、画家のミヒャエル・ゾーヴァ氏、七戸優氏の画風から影響を受け、キャンバス作品を制作し始める。衝動的な感情が制作の主な動機であり、記憶の記録のような作品であった。タイトルを付ける際には、自身の作品上では言葉と絵が切り離せない関係性を持っていることを認識する。幼少期から言葉に敏感であった彼女にとって自然な流れであった。
2014年の大学卒業時、小説家 小川洋子氏の本に着想を得て、15分の舞台作品「詩集」を創作する。その後、口笛洋燈(くちぶえらんぷ)というプロジェクトを主宰し、舞台作品「窓」(2015)、「蒸気蒐集」(2016)、「青のない絵本」(2019)、「Light」(2019)を発表。脚本・演出・美術・出演・制作を手掛ける。これらは、詩的な言葉を遣い、観客を夢見心地にさせるための仕掛け装置にこだわった。空間に描かれた絵のような、ビジュアル性の高い場面展開で構成された作品であった。また、現場の人々が互いに心からの敬意と愛情を持ち寄れるような関係性を重要視した。
今までに培ってきた言葉・視覚・空間・時間・音・身体性に対する感覚を用いて、現在は、アクリル絵具による心象風景の制作に力を注ぐ。自身の経験する様々な出来事に向き合い、その時に抱いた感情を真摯に見つめて景色として捉えて描くスタイルを採る。
また、制作過程において、時間の流れや空間の広がり、物語性、非現実感、そして、“観客”すなわち観る者の存在を強く意識するようになる。それは、受け取った人の心に少しでも光が射す事を祈る創作へと繋がっていった。自分のためだけにあった絵画に対する姿勢の変化であったと言える。
「絵画」と「舞台」が、更に深い関係性を持つことを見据えつつ、制作を続ける。